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「清水寺」と平成からの大改修について

日本で5件目の世界遺産として京都府京都市・宇治市、滋賀県大津市の2県3市に点在する構成資産17件(寺13、神社3、城1)から成る古都京都の文化財(京都市,宇治市,大津市)が1994年、世界遺産として登録されました。なお、文化遺産としては3件目となります。 その中で清水寺についてみていきたいと思います。

清水寺

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清水寺

780年に坂上田村麻呂によって私寺として建立された寺であり、798年大規模な伽藍を立てましたが、私寺建立禁令の中問題視されました。しかし、当時の平安京に官寺が少なかったことから官寺に準じた扱いを受ける事となり、805年に勅願寺となりました。
主要伽藍は、西門、三重塔、経堂、開山堂、朝倉堂、本堂、阿弥陀堂が西から東に並び、本堂の西に轟門、北に鎮守社である地主神社の社殿、阿弥陀堂の南北に奥の院、釈迦堂が配置されています。
国宝本堂の他、18棟の重要文化財建造物、江戸時代初期の借景式庭園である名勝指定の成就院庭園が世界遺産に登録されています。

清水寺の建造物、庭園目録

 

D1 本堂 国宝指定年月日1897.12.28

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本堂

本尊を安置する中心仏堂 です。780年に建立されましたが、9回の火災焼失がありその都度再建されてきました。現在の本堂は1633年に再建されたものです。音羽山の断崖に建ち、前半部が崖に乗る形となっています。ここには本尊の千手観音菩薩が祀られています。写真は修復中の本堂です(2021年3月完成予定)。

D2 仁王門 重要文化財指定年月日1966.06.11

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仁王門

境内入口に立つ正門 です。1467~1477年の戦によって焼失しましたが、1629年の火災からは免れたため、仁王門は1467~1477年に再建されたときのものと考えられます。その後2003年に解体修理され、色鮮やかな丹塗りの朱色であることから赤門とも呼ばれています。

D3 馬駐 重要文化財指定年月日1952.03.29

境内入口に建つ馬をとどめ置くための建物です。1467~1477年の戦によって焼失しましたが、その後再建され、1629年の火災からは免れたため、1467~1477年の再建時のものと考えられます。

D4 鐘楼 重要文化財指定年月日1908.04.23

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鏡楼

梵鐘をつるす建物です。平安期に建造され、江戸時代中期の1607年に現在の場所に再建・移築されました。装飾が多く絢爛豪華な桃山建築様式の粋を凝らしたつくりとなっています。

D5 西門 重要文化財指定年月日1908.04.23

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西門

三重塔の西に建つ門です。創建後9回の火災焼失があり、その都度再建されており、現在の建物は1631年再建の時のものです。門の前方と後方に柵が立ち、立ち入りができなくなっています。

D6 三重塔 重要文化財指定年月日1966.06.11

高さ約31メートルで、国内最大級の三重塔で、創建は847年、創建後9回の火災焼失があり、その都度再建されており、現在の建物は江戸時代の1632年に再建されたときのものです。大日如来像を祀り、四方の壁に真言八祖像、天井・柱などには密教仏画や飛天・龍らが極彩色で描かれています。

D7 経堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

経文を納める堂宇です。創建後9回の火災焼失があり、その都度再建されており、現在みられるのは1633年に再建された時のもので、2000年に解体修理されました。堂内には釈迦三尊像が祀られ、鏡天井に江戸時代の絵師・岡村信基筆の墨絵の円龍が描かれています。

D8 田村堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

清水寺を開山した延鎮上人、清水寺を創建した坂上田村麻呂夫妻、行叡(清水寺創建に尽力した僧)の像が祀られている堂です。創建後9回の火災焼失があり、その都度再建されており、現在みられるのは1633年の再建時のものです。

D9 朝倉堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

本堂の西隣に建つ堂で、越前朝倉氏にちなんでこう呼ばれています。現在みられるのは1633年の再建時のものです。創建当初は朱色だったのが、現在では全面白木造りとなっています。堂内中央の宝形造り唐様厨子内に十一面千手観音、脇士に地蔵菩薩、毘沙門天の三尊像が祀られています。

D10 轟門 重要文化財指定年月日1966.06.11

本堂西側に建つ八脚門という形式の建物です。伽藍の中では中門にあたりますが、切妻造り、本瓦葺きで、妻や天井の構造は東大寺転害門を縮小した造りとなっています。現在みられるのは1630年代の再建時のものです。

D11 本坊北総門 重要文化財指定年月日1966.06.11

塔頭である成就院の表門で、薬医門と呼ばれる形式の建物です。成就院は清水寺の再建に尽力した「願阿上人(がんあしょうにん)」が寝泊りした場所で、現在は清水寺の住職の住居として存在しています。

D12 鎮守堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

寺を守る神をまつる社殿です。もともと春日社という名称でしたが、神仏分離令の影響で鎮守堂と改められたようです。
建立年代17世紀前半

D13 釈迦堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

釈迦三尊像を安置する堂宇です。創建後9回の火災焼失があり、その都度再建されており、現在みられるのは1631年の再建時のものです。1972年の豪雨による土砂崩れで倒壊しましたが、1975年に旧材を用いて復旧されています。

D14 阿弥陀堂 重要文化財指定年月日1966.06.11

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本堂の東側山麓に並ぶ堂の一つで、阿弥陀如来像を安置する堂宇です。1631年に再建されました。本尊は阿弥陀如来。入母屋造り、桟瓦葺の建築様式です。浄土宗の開祖・法然上人が日本で最初に常行念仏道場とした場所であることから、法然上人二十五霊場第十三番札所として多くの参拝者が訪れます。※法然上人二十五霊場は、上人自作の御影、自筆の名号などが現存する寺院や、上人滅後や弟子に関係のある寺院も霊跡とされ、巡拝することで念仏の教えの尊さを知る喜びを得ることを目的としています。

D15 奥院 重要文化財指定年月日1966.06.11

本堂の東側にあり、本堂同様に舞台を備えた建物です。本堂と同時期の1633年に再建されました。2017年に修復が完了しました。本堂と同様の懸造りです。

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D16 子安塔 重要文化財指定年月日1966.06.11

本堂舞台の正面に見える小さな三重塔で、小安観音を安置する三層の塔です。小さな木組みの部材に「明応九年五月四日」の記述が発見されたことから、現在の建物は1500年に建立されたものと判明しました。檜皮葺の三重塔の内部には、子安観音(千手観音)が祀られています。

D17 地主神社本殿 重要文化財指定年月日1966.06.11

神霊をまつる社殿で、江戸時代までは清水寺の鎮守社でしたが、明治政府の神仏分離令により、明治時代以降独立した神社となりました。
建立年代:1631年

D18 地主神社拝殿 重要文化財指定年月日1966.06.11

礼拝のための殿舎です。
建立年代:1631年

D19 地主神社総門 重要文化財指定年月日1966.06.11

地主神社の正門です。
建立年代:1631年

Da 成就院庭園 名勝指定年月日1943.02.19

借景式の池庭。成就院は清水寺の再建に尽力した「願阿上人(がんあしょうにん)」が寝泊りした場所で、現在は清水寺の住職の住居として存在しています。
建立年代17世紀

関連資料

世界遺産一覧表記載推薦提案書(文化庁)

文化遺産オンライン(文化庁)

清水寺の拝観案内

清水寺

住所
〒605-0862 京都市東山区清水一丁目294
電話
075-551-1234
拝観時間
6:00~18:00(閉門時間はシーズンによって異なります)
拝観料
大人:400円 小・中学生:200円

地主神社

住所
〒605-0862 京都市東山区清水一丁目317
電話
075-541-2097
拝観時間
9:00~17:00(閉門時間はシーズンによって異なります)
拝観料
清水寺の拝観料のみ必要

平成の大改修について

今回、9棟の国宝・重要文化財の修理がおこなわれています。現在の堂塔はほとんどが1629年の大火災で焼失した後に再建されたもので、約400年前の建物です。定期的に修理されてきましたが、本堂をはじめとする貴重な建築を未来に残すため、2008年から総事業費約40億円をかけて、大改修が執り行われることとなりました。建物の状態により全解体、柱を残した半解体など、工事の内容も大掛かりなものとなっています。

馬駐

平成20年8月~平成22年11月 解体修理
破損部分の補修のほか、後世の改造部分の復原、地盤沈下対策として基礎の新設が行われました。

本坊北総門

平成21年1月~平成22年7月 解体修理
破損部分の補修を基本として修理が行われました。

朝倉堂

平成22年3月~平成25年8月 半解体修理
後世の改造部分の復原、耐震性向上のための構造補強をあわせて行われました。

子安塔

平成21年2月~平成25年8月 解体修理
後世の改造部分の復原、塗装等の塗り直し、暴風対策としての構造補強が行われました。

阿弥陀堂


平成23年3月~平成29年6月 半解体修理

破損部分の補修のほか、屋根を桟瓦葺から檜皮葺に改めるなど、後世の改造部分の復原が行われました。

奥院

平成23年3月~平成29年6月 半解体修理
後世の改造部分の復原、外側上半部を中心とする彩色等の塗り直しをあわせて行われました。

轟門

平成25年1月~平成28年7月 解体修理
破損部分の補修のほか、後世の改造部分の復原、耐震性向上のための構造補強が行われました。

釈迦堂

傷みの生じている檜皮葺屋根の葺き替え、建具など漆塗の塗り直し、内部の彩色の補修などが行われる予定です。

修理の経過と今後の予定

 平成30年度 檜皮葺の葺き替え
 令和元年度 建具など漆の塗り直し

本堂

屋根葺替と破損部分の部分修理を主に行われるよていです。

修理の経過

  • 平成21年度~ 檜皮の購入
  • 平成22年度  構造診断
  • 平成23年度  舞台下の発掘調査
  • 平成25年度  舞台下束柱の根継ぎ補修
     舞台下斜面崩落防止のための鋼管杭の埋設
  • 平成25年度~ 舞台下斜面表層の土間叩き補修
     建具の漆塗補修
  • 平成28年度  素屋根の建設(平成29年1月~7月)
  • 平成29年度~ 檜皮葺の葺き替え
    漆喰壁の塗り直し
  • 令和元年度  檜皮葺完了・素屋根の解体(令和2年3月に完了予定)

今後の予定

 令和2年度 舞台の破損部分等の補修

現状

令和2年5月 舞台修理のための足場を組み、舞台上の西半分に仮囲いを設けています。なお、東半分ではこれまで通り舞台に立ち入ることができます。

関連資料

京都府 教育庁 指導部 文化財保護課より

 

 

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改修中の清水寺

清水と言えば「清水の舞台」。そこが修復中で、今しか見られない状態を見ることができたのは貴重な体験だったと思います。写真ではよくわからないと思いますが、ここには木造建築の匠の技が詰まっているのだと思います。日本の伝統的な建築技法と、最新の建築技術が融合されて修復が行われているのですから、素人の私でもここを見るとワクワクしてしまうくらいですから、専門の方が見たらきっともっと感激するのではないでしょうか。ネットがけの舞台を見て最初はがっかりしましたが、こんな機会めったにないと、逆に得した気分になりました。

おすすめ

今回「隋求堂の胎内めぐり」を体験してきました。暗いので気を付けるようにと言われ、暗いとはどの程度か自分なりに想像して入りました。そしてこんな暗さがあることを初めて知りました。初めて体験する真っ暗闇。この暗さは想像を超えていました。
ここを拝観して以来、清水に行くと聞いたら、「『隋求堂の胎内めぐり』は拝観してね」が口癖になりました。ここを拝観する方は、一言の願い事を考えて参拝してください。一つだけ願いをかなえてくれるそうです。