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青い海に浮かぶ神社 「厳島神社」

厳島神社(平成8年記載)
 厳島神社は海上に立地し、周囲の景観と一体となり美しさを表現し、日本人の精神文化を理解するうえで貴重な存在です。また、建築物としても他に類を見ない独創的なものであり、建築様式は平安時代の様式を取り入れ、現在に伝えています。このようなことから世界遺産としての価値が認められたようです。

 世界遺産登録基準

登録基準(1)(2)(4)(6)
この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。 

「厳島神社」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

真実性・完全性

世界文化遺産の主な登録条件に資産の真実性・完全性の証明という項目があります。厳島神社では次の通りとなっています。

(1)意匠の真実性
厳島神社には修理再建が行われてきたものの、綿密な調査と類例研究の結果を踏まえ、さらに現状変更には、文化財保護審議会における厳密な討議と審査に基づく国の許可を必要としており、いささかも推定の部分はない。
(2)材料の真実性
厳島神社の社殿群は海上に立地し、背後に急傾斜の山をひかえているため、台風や土砂崩れ等による災害にたびたび見まわれ、新材に取り替えていますが、同じ形状の部材が建物の至る所で使われており、欠失・毀損した部材と同じ部材が他の部位に残存している為、毀損材の正確な復原を可能にし、やむなく取り外した当初材については、実測図をはじめ詳細な記録を作成し、かつ重要な部材は適切に保存している。
(3)技術の真実性
日本には伝統的に解体あるいは半解体という修理法があり、建物の組立にあたっては建物創建当初の加工技法を調査・研究し、取替部材を仕上げています。また、修理不可能な腐朽・毀損部材の取替えや欠失部分の復原の場合には伝統的な部材補修方法である根継ぎ法(柱の根元の腐朽部分)や矧木・継木法(毀損している箇所)の技術で修復を実施するなど、技術の真実さの保持にも最大の努力をはらっています。
(4)環境の真実性
推薦資産に含まれる国宝6棟重要文化財11棟3基の建造物のほとんどは、創建当初の位置を動いておらず、周囲の環境とともに良好に保存されています。この建造物の配置状況も重要な歴史資料と認識され、保存を図っています。

所在地及び面積

広島県佐伯郡宮島町に所在する厳島神社の建造物群と、それと一体となって資産の価値を形成している背後の瀰山を中心とする森林の区域が対象となっています。
[面積]        
資産区域面積 431.2 ha
緩衝地帯面積 2,634.3 ha
合計 3,065.5 ha

管理

指定建造物及びその立地する土地は、ともに宗教団体として活動している法人の財産であり、指定建造物群の後背地の都市公園地は国の財産となっています。

法律及び条例によるほとんどの指定区域では自然環境や歴史的環境など風致の保護・保全を目的とし、指定区域内の現状を変更する行為は制限され、あらかじめ国または広島県の許可を得なければならず、これら法律の規定に違反した場合は罰則が課せられます。

資産内容

[本社]
 本社は厳島神社の中心建物で、海上に展開する社殿群の中核をなしています。祓殿の左右から出て、曲折しながら東西にのびる廻廊に沿って附属舎が配置されています。
 本社の各建物は大鳥居、祓殿、拝殿、本殿、拝殿と本殿の間をつなぐ幣殿で、H字型の棟をもつ一棟の建物とし、祓殿の屋根も拝殿に接続させて全体が一連の屋根の下に覆われています。
[摂社客神社]
社殿群の構成は祓殿、本殿、拝殿、本殿と拝殿をつなぐ幣殿で、社殿全体を一連の屋根で覆っているのは本社と同じですが、社殿全体の規模はひとまわり小さくなっています。また、客神社では、廻廊が拝殿と祓殿の取り合い部分を通路のようにして通り抜けて、祓殿前面は直接海面に面していて平舞台にあたる板敷きがありません。
1 本社本殿・幣殿・拝殿 (国宝)
1-A 本社本殿(1899.04.05国宝指定)
市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命を祀る神殿。1571年[元亀2]の再建。
1-A-(1) 玉垣(1952.03.29国宝指定)
本殿を囲む屋根付きの板塀。上部に連子窓を開ける。
1-A-(2) 不明門(1952.03.29国宝指定)
本殿裏に建つ瓦葺の四脚門。1564年[永禄7]の再建であるが、扉は1241年[仁治2]の再建のものを使用。
1-B 本社幣殿(1899.04.05国宝指定)
本殿と拝殿の間を繋ぐ建物。
1-C 本社拝殿(1899.04.05国宝指定)
神霊を礼拝するための建物。内部は各柱筋に柱が立ち並び、逆W字形の天井をかける。1241年[仁治2]の再建。
1-C(1)L 左右内侍橋(左内侍橋)(1899.04.05国宝指定)
東廻廊から拝殿の縁に向かって架けられた、屋根付きの渡り廊下。
1-C(1)R 左右内侍橋(右内侍橋)(1899.04.05国宝指定)
西廻廊から拝殿の縁に向かって架けられた、屋根付きの渡り廊下。
2 本社祓殿(1899.04.05国宝指定)
祭礼に際し、祭の参加者のお祓いをする場所。1241年[仁治2]再建。
2-(1) 高舞台
神霊に奉納する舞楽を演ずる舞台。
2-(2) 平舞台
祓殿前に設けられた、儀式用の板敷き。
2-(3)L 左右楽房(左楽房)
舞楽を舞うための伴奏音楽(雅楽)演奏のための殿舎。
2-(3)R 左右楽房(右楽房)
同上
2-(4)L 左右門客神社本殿(左門客神社)
神社の入り口を守護する神霊を祀る神殿。内部の玉殿とそれを覆う社殿からなる。
2-(4)R 左右門客神社本殿(右門客神社)
同上
3 摂社客神社本殿・幣殿・拝殿(国宝)
3-A 摂社客神社本殿(1899.04.05国宝指定)
天忍穂耳命、活津彦根命、天穂日命、熊野橡樟日命、天津彦根命を祀る神殿。1241年[仁治2]の再建。1433年[永享5]に改修。
3-A-(1) 玉垣(1952.03.29国宝指定)
本殿を囲む屋根付きの板塀。上部に連子窓を開ける。
3-B 摂社客神社幣殿(1899.04.05国宝指定)
摂社客神社本殿と拝殿の間を繋ぐ建物。
3-C 摂社客神社拝殿(1899.04.05国宝指定)
神霊を礼拝するための建物。1241年[仁治2]の再建。1433年[永享5]に改修。
4 摂社客神社祓殿(国宝1899.04.05指定)
祭礼に際し、祭の参加者のお祓いをする場所。1241年[仁治2]の再建。1433年[永享5]に改修。
5 東廻廊(国宝1899.04.05指定)
本社祓殿から拝殿を囲むように屈曲し、北東の陸地との間を繋ぐ屋根付の廊下。16世紀後半に再建。入口は切妻造りで、屋根は檜皮葺[ひわだぶき]で、棟には棟瓦が載せてあります。
6 西廻廊(国宝1899.04.05指定)
本社祓殿から拝殿を囲むように屈曲し、西の陸地との間を繋ぐ屋根付の廊下。16世紀後半に再建。唐破風造り[からはふづくり]になっています。
7 朝座屋(1899.04.05重要文化財指定)
神官が朝の祭儀の前に参集する殿舎。
8 能舞台(1899.04.05重要文化財指定)
神霊に奉納する能を演じるための舞台。1680年[延宝8]建築。1827年[文政10]に改修。
8-(1) 橋掛
能楽屋と能舞台を繋ぐ演能のための屋根付きの橋。
8-(2) 能楽屋
能楽を演ずる人達の準備と控えのための建物。
9 揚水橋(1899.04.05重要文化財指定)
東回廊と南の陸地を結ぶ木造の橋。途中の張り出しは、昔ここから海水を汲んだ名残。
10 長橋(1899.04.05重要文化財指定)
西廻廊と南の陸地を結ぶ木造の橋。以前はこの橋を通って神に供える神饌を運んだ。
11 反橋(1899.04.05重要文化財指定)
西廻廊と南の陸地を結ぶ木造の橋。大きな弧を描き、朱塗りの高欄を設ける。
12 大鳥居(1899.04.05重要文化財指定)
海中に建つ、巨大な木造の鳥居で、屋根は檜皮葺。4本の控柱をもつ。1875年[明治8]の再建。
13 摂社大国神社本殿(1899.04.05重要文化財指定)
大国主命を祀る神殿。切妻造、妻入。16世紀後半の再建。
14 摂社天神社本殿(1899.04.05重要文化財指定)
菅原道真公を祀る神殿。入母屋造、妻入。住宅風の建築。神前で連歌の会を開いた。1556年[弘治2]の創建。
14-(1) 渡廊(1899.04.05重要文化財指定)
長橋と天神社本殿を結ぶ屋根付きの廊下。
15 五重塔(1900.04.07重要文化財指定)
檜皮葺屋根の五層塔婆。反りの強い軒や、尖った尾垂木は禅宗様の影響。1407年[応永14]の創建。
16 多宝塔(1901.08.02重要文化財指定)
こけら葺屋根の二層塔婆。上層の平面は円形につくる。1523年[大永3]の創建。
17 末社荒胡子神社本殿(1904.02.18重要文化財指定)
素盞鳴神を祀る神殿。漆塗の小社殿。1441年[嘉吉元]の再建。
18 末社豊国神社本殿(千畳閣)(1910.08.29重要文化財指定)
本瓦葺の巨大建築。軒先瓦に金箔を押す。天井や周囲の柱間装置は未完成。1587年[天正15]の創建。
19 摂社大元神社本殿(1949.02.18重要文化財指定)
大山祇神を祀る神殿。特殊な形式のこけら葺で有名。1523年[大永3]の再建。
20 宝蔵(1949.02.18重要文化財指定)
神宝を収蔵する蔵。高床式で、五角形断面の横材を組んで壁体を積み上げる。

(参考)世界文化遺産オンライン

 厳島神社の歴史

[厳島神社の起源]

神社の創建は 593年現在の広島県・宮島の地域を収めていた豪族・佐伯鞍職(さえき の くらもと)が、水の神とされる「市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)」のお告げを受け、現在の「御笠浜(みかさのはま)」に社殿を建立したのが厳島神社の始まりと伝わっていますが、はっきりと歴史の舞台に登場するのは811 年以降で、「日本後記」に「伊都岐嶋神」の名前が登場するのが神社名としては最初のものとなっているようです。以降、平安時代を通じて安芸の国の著名な神社として知られるようになったようです。

[平清盛による造営]

厳島にいつごろから社殿の建築が始まったかについては不明ですが、1168年(仁安3) 、神主である佐伯景弘が社殿の造営を行ったことを朝廷に報告している文書があり、そのなかで神殿などの建物の規模を大きくし、板葺の建築物の一部を檜皮葺に改めたとしています。そして、この造営が平清盛の後援を受けて行われたことは間違いなく、その後の厳島神社の社殿規模や配置の基準となったものと考えられます。
平清盛は、1146年に安芸守の任に就き、平家一門の隆盛とともに厳島神社も栄えて平家の氏神となりました。平家滅亡後も、鎌倉幕府や室町幕府、地元の領主大内氏や毛利氏、また、豊臣秀吉も篤く信仰し庇護してきました。

[その後の造営]

1207年と1223年2度の炎上や1325年大鳥居、大風により転倒するなどしばしば風水害を受けましたが、その時々の権力者や在地の有力者の崇敬を集め、都度復旧されています。また、1407年五重塔が建立されたのをはじめ1523年多宝塔が建立1556年毛利隆元により天神社を建立するなど、従来の社殿以外に新たな建造物も付け加えられ、社頭景観が形成されていきました。
大鳥居は1547年控え柱をもつ形式に改められ、その後も1561年、1739年としばしば再興していますが、最後は1850年に大風で破損した後、1875年に再興したのが現在の大鳥居となっています。
摂社客神社は1430年(永享2)から1433年(永享5) にかけて改修されました。

厳島神社拝観について

拝観は年中無休となっています。

嚴島神社拝観時間(開門~閉門)

1月1日  (0時00分 ~18時30分)

1月2日 ~1月3日(6時30分~18時30分)

1月4日 ~2月末日(6時30分~17時30分)

3月1日 ~10月14日(6時30分 ~18時00分)

10月15日 ~11月30日(6時30分 ~17時30分)

12月1日~12月31日(6時30分~17時00分)

※嚴島神社の廻廊は、高潮対策のため隙間の空いた構造となっているため、ハイヒール等、隙間に挟まる事がありますので、参拝時は履物に気をつけてください。

宝物館拝観時間(開門~閉門)

通年 (8時00分~17時00分)

宝物館料金

個人大人:神社300円/宝物館300円/共通割引500円

個人高校生:神社200円/宝物館200円/共通割引300円

個人中小学生:神社100円/宝物館100円/共通割引150円

団体大人:神社250円/宝物館250円/共通割引400円

団体高校生:神社150円/宝物館150円/共通割引200円

団体中小学生:神社70円/宝物館70円/共通割引100円

※嚴島神社と宝物館は、共通割引と団体割引があります。団体は各50名以上となります。(共通券購入は神社入口のみ)

※修学旅行に於いて、教員・写真業者・看護師は学生料金となります。

 

千畳閣料金

大人 100円/中小学生50円

※千畳閣には共通割引、団体割引はありません。

千畳閣拝観時間(開門~閉門)

通年 (8時30分~16時30分)

【厳島神社問合せ先】

〒739-0588
広島県廿日市市宮島町1-1
Tel:0829-44-2020 Fax:0829-44-0517

お問合せ時間 : 午前9時から午後4時まで

厳島神社の神様

「安芸の宮島」と呼ばれ平家が崇拝したことで知られる厳島神社の御祭神と言えば宗像三神。八百万の神の中でも三姉妹の女神はこの神だけです。美人の誉れが高く、海の神として全国でも多くの神社で祀られている神様です。

海は豊かな恵みをもたらす一方、荒れ狂い人命にかかる災害ももたらします。そのため海に暮らす人々は海に対して強い恐れと崇拝の意を表し、海を司る神を祀っていたようです。

厳島神社の御利益

宗像三神は多紀理姫命(別名:奥津島比売命、田心姫命)、市杵島姫命(別名:狭依毘売命※弁天様)、多岐津姫命(別名:湍津姫命、田寸津比売命)の三姉妹で、海の神、交通運輸の神、財福・技芸の神としての神格があります。

 

まとめ

宮島は昔から島全体が神とされ崇拝されてきました。この地にある1400年の歴史を誇る厳島神社は海の中に建ち、潮が満ちるとき海に浮かび上がるように美しさを増す、日本でも珍しい神社です。この神々しい存在はこれからもずっと、私たちの財産であり続けることでしょう。