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日本の技術は世界最高水準「マンホールの蓋」

普段歩いていると目にするマンホール。最近は市町村の趣向を凝らしたデザインのマンホール蓋が目につくようになりました。調べてみるとマンホールカードと言うものがあるらしく、市町村のホームページには「マンホールカード配布」の文字が。どうもマンホールカードは配布場所が限定されており、その場所に行かなければもらえないらしい。大変貴重なものとも言えそう。

と、ここで私いったん考えました。そもそもマンホールって何だろう?

マンホールはmanhole

下水道事業や雨水対策事業をはじめ、農業用水事業、電話線・光ファイバー・ガスなどが埋設されている場所には必ずマンホールが設置されています。そして、そのほとんどは、点検のための出入り口となっています。よく私たちが目にするマンホールは実はマンホールの蓋で、そこから縦に貼られた穴がマンホールというんです。だから「人(Mam)」「穴(Hole)」と言うそうです。構造は、鉄蓋と受け枠・調整部・斜壁・スラブ・直壁・底部などからなり、総称してマンホールと呼びます。

マンホール蓋は何故丸い形状が多いのでしょう

一般にマンホールと呼ばれてはいますがマンホール蓋が正解で、ここからは蓋についてみていきたいと思います。

マンホールの蓋は丸いものが多く、四角いものはあまり見かけません。実はこれには訳があるんです。

この図の通り、丸い蓋はどの向きでも同じですが、四角い蓋は辺よりも対角線が長いため向きが変わると落ちてしまいます。よほどのことがない限り、円の形をしたマンホール蓋は中に落ちるはありません。また、角がない分すり減ることが少なく丈夫で、転がして運ぶこともできるという利点もあるそうです。

マンホール蓋からわかる情報

マンホールの蓋には管理会社の名前が入っています。この場合、電気、ガス、通信で使われていることがうかがえます。地中を通る通信ケーブルを管理したり、地中送電設備の日常点検や設備改修するなどしています。ロゴも多くつかわれているため、ちょっと判りにくいかもしれません。

町中に一番多く存在しているのは上下水道のマンホールではないでしょうか。この場合、管路の分岐点や合流点に設置され、蓋には雨水か、汚水か、雨水と汚水の合流式か一目で分かるようになっています。

マンホールのデザインには歴史があり、デザインを見るといつごろ造られたかわかります。また、数字の羅列も見受けられ、その数字からも情報を読み取ることができるようです。

このようにマンホール蓋には情報がたくさん詰まっているのがわかります。

世界に誇れる日本の技術が集結したマンホール蓋

最初に日本でつくられたマンホールの蓋は木製の格子ふただったとの話もありますが、現在のような丸形のものは、西欧(主にイギリス)を参考にして製造されたと考えられています。当時は、壁の受け枠が直接支える「平受け」という構造でした。

「平受け」は隙間に異物が入りやすく、ふたが前後に動いたり、回転したりするため、摩擦による摩耗でガタツキが発生します。車両の増加や大型化も相まって、そのガタツキが騒音をもたらす原因となりました。この解決策として、ダクタイル鋳鉄(FCD)と呼ばれる材料を使用し、がたつきを防止する「勾配受け」という構造が開発されました。蓋の側面と受け枠を6~10 度の勾配面に加工し、ぴったり密着させることでガタツキが発生するのを防ぐ仕組みです。

しかし今度は、過剰な食い込みが問題となりました。そこで、上段と下段それぞれに勾配を持たせるという「RV」構造が登場しました。これは、上段の勾配面で過剰な食い込みを抑え、下段の勾配面でがたつきを防止するという2つの機能を兼ね備えた仕組みとなっています。

このような仕組みは世界でも類を見ない日本の技術です。

構造だけではなく、材質やデザインも進化を続けています。例えば豪雪地帯では、汚水が温かいため、冬雪が積もるとマンホールのところがくぼみます。このくぼみは通行上危険なので、近年はウレタン製の「断熱蓋」を導入する市町村も増えています。

また、下水道事業のイメージアップと市民アピールのために、各市町村が独自のオリジナルデザインマンホールを作成するなど、デザイン化も進んでいます。

マンホールカード

世界に誇れる文化物である日本のマンホール蓋を楽しく伝えるとともに、下水道への理解・関心を深めていただくためのコミュニケーションツールとして「マンホールカード」があります。

マンホールカードは全国の下水処理場や各市町村、道の駅などで配布していますが、配布場所が限定されており、その場所に行かなければもらえません。下記のサイトではマンホールカードの配布場所など調べることができます。

マンホールカード検索 | 下水道広報プラットホーム

 

たまに目にすることがありますが、市町村の公式サイトで、マンホールの蓋を勝手に開けて雨水を流さないよう求めています。先にも書きましたが、マンホールには雨水、汚水、雨水と汚水の合流式と、役割があります。それを勝手に流し込むことは危険な事です。だからと言って簡単に開けられないようにすると、作業効率が悪くなります。

ちょっとした工夫とアイディアでこういう問題解決の糸口が見つかるといいと思います。