東日本大震災から13年、今年も能登半島地震が起こり、地震からは逃れられない土地に住んでいることを実感させられています。北海道でも1993年、北海道南西沖を震源とする大地震が、また、2018年には北海道胆振東部地震が発生しています。
日本では、1923年9月1日の関東大震災を受けて、防災啓発を目的に、9月1日は「防災の日」としました。「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ために制定された防災啓発デーで、「防災の日」を含む1週間を防災週間として、毎年9月1日を中心に防災訓練などが実施されています。
「地震・雷・火事・親父」という諺がありますが、これは世の中で特に怖いとされているものを怖い順に並べた言葉で、最近では「地震・雷・火事・台風」とか「地震・雷・火事・津波」など、親父の部分を入れ替えた派生語もあるようです。いつの時代も災害が怖いのは変わらないものです。
防災の日とは
「防災の日」は、1960年に内閣の閣議了解により制定されました。1982年5月11日の閣議了解で、この「『防災の日』の創設について」の閣議了解は廃止され、改めて「防災の日」及び「防災週間」が設けられました。
9月1日の日付は、1923年に発生した関東大震災が発生した日であるとともに、例年8月31日から9月1日付近は、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもあります。二百十日は暦の上で雑節の一つで、立春から数えて210日目の日、太陽暦では9月1日ころにあたり、台風が来襲する厄日とされています。「二百二十日(にひゃくはつか)」も同様の雑節で、稲作上大切な時期と合致する(二百十日は中稲の花盛り・二百二十日は晩稲の花盛り)ので農家では警戒をし、海上生活者や各戸なども台風に備えて警戒する時期です。
「防災の日」及び「防災週間」について
昭和57年5月11日 閣議了解
1 政府、地方公共団体等防災関係諸機関をはじめ、広く国民が、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するため、「防災の日」及び「防災週間」を設ける。
2 「防災の日」は、毎年9月1日とし、この日を含む1週間を「防災週間」とする。
3 この週間において、防災知識の普及のための講演会、展示会等の開催、防災訓練の実施、防災功労者の表彰等の行事を地方公共団体その他関係団体の緊密な協力を得て全国的に実施するものとする。
4 「『防災の日』の創設について」(昭和35年6月17日閣議了解)は、廃止する。「内閣府政策統括官(防災担当)防災情報のページ」より
地震の種類
地震は大きく分けて3種類に分類することができます。2011年に起きた東日本大震災などに代表される「プレート境界型地震(海溝型地震)」、1995年の阪神淡路大震災や、2016年の熊本地震などは「断層型地震(内陸型地震・直下型地震)」、もう一つは火山の噴火やマグマの活動などによって発生する「火山性地震」です。
プレート境界型地震(海溝型地震)
地球の表面は「プレート」と呼ばれる板のような岩の層で覆われています。日本の周辺は海洋プレートである太平洋プレートとフィリピン海プレート、大陸プレートである北米プレートとユーラシアプレートがあります。密度の大きい海洋プレートは、密度の小さい陸のプレートの下に1年間に数センチメートルのゆっくりとした速度で沈み込んでいき、海洋プレートに引きずり込まれた大陸プレートは先端部にひずみがたまります。100年から200年くらいでこのひずみの蓄積に限界がきて、大陸プレートの先端部が跳ね上がります。このときの衝撃で起きるのが「プレート境界型地震」です。日本の周辺ではプレート境界は海溝なので、海溝型地震とも呼ばれています。
断層型地震(縦ずれ断層・横ずれ断層)
プレートが移動することにより圧縮され、地殻内にひずみができ、限界まで達すると、大陸プレートの岩盤の弱い部分で急激なずれが起こります。これが「断層型地震」です。プレート境界型地震よりもマグニチュードは小さく、揺れる時間も短いですが、私たちの住む地面のすぐ下、5から20キロメートル程度の比較的浅い所で起きるため、私たちの生活に大きな影響をもたらします。
今後も活動を繰り返すような断層を活断層といい、日本列島には数多くの活断層があります。地殻内部にかかる力の状態は複雑で、その状況によって様々な型の断層運動が生じます。日本列島では、中部地方から西日本にかけては横ずれ断層型が多く、東北地方などの北日本では逆断層型が多いと言われています。
縦ずれ断層(正断層・逆断層)
断層面が傾いている場合、両側の岩盤のうち、断層面に対して上にあるものを「上盤」下にあるものを「下盤」と呼びます。断層面を境として両側のブロックが上下方向に動くときを「縦ずれ断層」と呼びます。「縦ずれ断層」のうち、上盤側がずり下がる場合を「正断層」、のし上がる場合を「逆断層」と言います。
横ずれ断層
両側のブロックが水平方向に動くときは「横ずれ断層」と呼び、断層線に向かって相手側のブロックが右に動く場合を「右横ずれ断層」、左に動く場合を「左横ずれ断層」と言います。
火山性地震
火山の噴火やマグマの活動などによって発生する地震のことです。通常の地震とは異なり、余震や前震がなく、本震のみが単独で発生するのが特徴です。火山性地震にはいろいろなタイプがありますが、大きく分けて噴火に伴うものと、火山内部の活動に関連した二つのタイプものがあります。
火山内部で起きている火山活動に関連して起きる地震
地震周期が短く震源地の深い揺れや、地震周期が長く震源地の浅い揺れなどがあり、一般的に噴火の前に観測される場合がほとんどです。
噴火に伴う地震
マグマの活動などに関連した地震は、周期が短く、爆発的噴火に伴って発生する「爆発地震」は、火山で発生する地震の中では規模が大きく、多くの場合空振を伴います。
マグニチュードと震度
マグニチュードは地震そのものの大きさを表します。震源から出てくるエネルギーの大きさによってマグニチュードの数字は決まるので、大きな地震ほど数字が大きくなります。震度は、その場所がどのくらい揺れたかを表し、場所ごとにそれぞれ決まります。マグニチュードは一つの地震に対して一つの数字しかありませんが、同じ地震であっても、震源からの距離や地盤の揺れやすさなどで、震度は変わります。
気象庁マグニチュード算出方法の改訂について気象庁平成15年9月17日に気象庁で出された報道発表は以下の通りです。
気象庁は、平成15年9月25日から、気象庁マグニチュードの算出方法を改訂し
ます。また、過去の地震についても新しい算出方法を適用し、これまでに公表した気
象庁マグニチュードについて必要な改訂を行います。
なお、概要については以下のとおりです。1.マグニチュードの定義と気象庁マグニチュード
マグニチュードは地震の規模を表す指標であり、観測された地震の記録(最大振幅
あるいは地震波形全体)を用いて計算されます。マグニチュードを計算するためには、地震計の種類や設置環境、観測網の状況などに応じた様々な経験式が用いられていますが、国際的に統一された規格はありません。しかし、その中で最も標準的なマグニチュードと考えられているのはモーメントマグニチュードです。これは、断層の面積と断層すべり量の積に比例する量であり、物理的な意味が明確であるという点で他のマグニチュードにはない利点があります。ただし、地震波全体を使った複雑な計算が必要なため、地震発生直後に行う地震の規模の推定には使えないこと、小規模の地震では計算することができないこと、さらにはデータの蓄積が最近20年間程度に限られるという欠点があります。
日本では、基本的にモーメントマグニチュードと良く一致するなどの利点があり、約 80 年間にわたる一貫した方法で決定されている気象庁マグニチュード(地震時の地面の動き(変位)の最大値から計算される変位マグニチュード)が標準と位置付けられており、現在の地震活動と過去の地震活動とを比較したり、耐震工学的な基準を作る際のデータベースなどとして幅広く利用されています。しかし、小規模の地震では、変位記録上では地震波信号がノイズよりも小さくなってしまうので、変位マグニチュードを計算することはできません。2.速度マグニチュードの導入
気象庁は、小規模の地震まで観測できるようにするため、1970 年代の後半に、地面が動く速度(速度)を記録するタイプの地震計である高感度地震計を整備しました。
しかし、当時気象庁には速度を使ってマグニチュードを推定する経験式は存在しなかったため、変位と速度の両方が、有意にかつ振り切れることなく観測できた地震について、速度から求まるマグニチュード(以下速度マグニチュード)が変位マグニチュードに一致するよう速度マグニチュードの経験式を作成しました。そして、変位マグニチュードが計算できないような小規模の地震については、その経験式を用いて速度マグニチュードを計算し、その結果を気象庁マグニチュードとすることとし、今日に至っていました。
3.気象庁マグニチュードの課題と対処について
近年、気象庁の地震観測網の全面的な変更(*1)が行われ、また、気象庁では稠密な観測点データを一元的に処理(*2)するようになったため、徐々にデータが蓄積されるようになりました。その結果、気象庁マグニチュードについて、下記の課題があることが明らかとなってきました。
・ 変位マグニチュードは、平成5年度末の津波地震早期検知網の整備により地震計及びその設置環境が一新された以降、系統的にやや小さく決定されるようになった。
・ 速度マグニチュードについては、90km よりも深い地震の速度マグニチュードを計算する式がない状態が放置されている。また、1970 年代に定めた速度マグニチュードの経験式については、細部において変位マグニチュードとのずれが見出されているが、それは、現在と比べれば非常に少ないデータを基礎としたことにあると考えられ、データの蓄積が進んだ現在では、速度マグニチュードを変位マグニチュードにより正確に一致させることが可能になっている。
これらの課題について、平成13年1月から4月にかけ開催された気象庁マグニチュード検討委員会(座長 阿部勝征 東京大学教授)によって次のような対処方針が示されました。
① 変位マグニチュードについては、津波地震早期検知網以前と以降のマグニチュードの系統的な差を統計的に吸収することができるよう計算式を改良する。
② 速度マグニチュードについては、Hi-net 観測網データの蓄積を待って、変位マグニチュードとさらに良く一致し、かつ 90km よりも深い地震に対しても適用可能な経験式を導入する。
気象庁では、この方針に沿って気象庁マグニチュードの改善を図ってきました。まず、地震観測網の全面的な変更の影響を吸収し過去との整合性を確保することができ、また深い地震のマグニチュード算出方法を改善した変位マグニチュードの計算式を作成しました。その過程で、兵庫県南部地震など、新しい観測網整備以降に発生し、社会的に注目度の高い顕著な17地震については、変更前の観測網の地震計特性や地盤特性を忠実に再現することができたため、従来からの気象庁マグニチュード計算式を使って再計算し、上記委員会の検討結果と併せ、平成13年4月に公表しました。また、昨年10月に全国の Hi-net 観測網(*2)のデータを処理に導入した後、約1年を経過しデータが蓄積されたことから、上記②に従って速度マグニチュードの経験式を改訂することとしました。さらに、これらの式を過去の地震に遡って適用し、気象庁マグニチュードを改訂することとしました。
新しい気象庁マグニチュードは、従来の気象庁マグニチュードと比較して、大きな地震では深い地震を除き変化は小さく(津波早期検知網整備以前は変わらず、同検知網整備以降は 0.2 程度大きくなる)、マグニチュード2程度の小さな地震では 0.5 程度小さくなるという特徴があります。
日本では、震度を0から7までの数字で表し、そのうち震度5と6は弱と強の2つに分かれているので、合計で10段階あります。
0 揺れを感じない
1 屋内に居る人の一部がわずかな揺れを感じる
2 屋内に居る人の多くが揺れを感じ、電灯などもわずかに揺れる
3 屋内に居る人のほとんどが揺れを感じる
4 電灯などが大きく揺れ、歩いている人も揺れを感じる
5弱 棚のものが落ちたり、窓ガラスが割れることもある
5強 箪笥が倒れたり、ドアが開かなくなることもある
6弱 立っていることが困難。家具が移動したり倒れたりする
6強 立っていることができない。窓ガラスや壁のタイルが落下する
7 建物が傾いたり崩壊する。地割れや地滑りが発生
地震から身を守る
気象庁では、地震災害を防止・軽減するために緊急地震速報、地震情報、長周期地震動に関する観測情報、南海トラフ地震関連情報等を発表し、注意や警戒を呼びかけています。突然襲ってくる地震から身を守るために、これらの情報を理解し、日頃からの備えを行うことが重要です。
緊急地震速報
緊急地震速報は最大震度5弱以上が予想されたときに、震度4以上が予想される地域に対して発表されます。また、令和5年2月1日からは、長周期地震動階級3以上を予想した場合にも発表しています。長周期地震動階級については「長周期地震動」に関する項目を参照してください。
緊急地震速報とは
情報を伝えるために使われている有線・無線の電気信号は、地震波の伝わる速度よりも、非常に短い時間で遠距離まで情報を伝えることができます。それを利用して、地震の発生をできるだけ早く伝えるために、気象庁が発表するのが緊急地震速報です。ただ、震源地から近いケースでは時間差が生まれないため、情報の到達が間に合わないということもあります。
緊急地震速報の発表条件
緊急地震速報には、大きく分けて高度利用者向けの「緊急地震速報(予報)」と一般利用者向けの「緊急地震速報(警報)」の2種類があります。
緊急地震速報(予報)
緊急地震速報(予報)の発表基準
地震波が1点の地震観測点で観測され、マグニチュードが3.5以上、または最大予測震度が3以上、長周期地震動階級が1以上である場合に地震発生から2~3秒後には関係機関にむけてデータが送られます。
緊急地震速報(予報)の内容
- 地震の発生時刻、地震の発生場所(震源)の推定値
- 地震の規模(マグニチュード)の推定値
- 予測される最大震度が震度3以下のときは、予測される揺れの大きさの最大(最大予測震度)
- 予測される最大震度が震度4以上または長周期地震動階級1以上のときは、地域名に加えて震度4以上または長周期地震動階級1以上と予測される地域の揺れの大きさの予測値(予測震度、予測長周期地震動階級)とその地域への大きな揺れ(主要動)の到達時刻の予測値(主要動到達予測時刻)
緊急地震速報(警報)
緊急地震速報(警報)の発表基準
地震波が2点以上の地震観測点で観測され、最大震度が5弱以上または最大長周期地震動階級が3以上と予想された場合に、地震発生から5~10秒後には関係機関にむけてデータが送られ、報道機関や携帯電話会社を通じてテレビやスマートフォンなどに届けられます。
緊急地震速報(警報)で続報を発表する場合
- 緊急地震速報を発表した後の解析により、警報が発表されていない地域に、新たに震度5弱以上または長周期地震動階級3以上が予想された場合に、続報を発表する。
- 続報では、新たに震度5弱以上または長周期地震動階級3以上が予想された地域及び新たに震度4が予想された地域を発表する。
- 落雷等の地震以外の現象を地震と誤認して発信された緊急地震速報(誤報)のみ取り消すこととし、例えば震度5弱と予想していた地域が震度3以下との予想となった場合などは取り消さない。
緊急地震速報(警報)の内容
- 地震の発生時刻、発生場所(震源)の推定値、地震発生場所の震央地名
- 強い揺れ(震度5弱以上または長周期地震動階級3以上)が予想される地域及び震度4が予想される地域名
緊急地震速報を受け取るには
携帯電話による受信
携帯電話各社により、携帯電話への緊急地震速報の配信が行われています。登録は不要で、緊急地震速報の他にも、弾道ミサイル発射事案や市からの避難情報などが配信されます。
防災行政無線による放送
成19年10月1日以降、市区町村では、準備が整い次第、防災行政無線による放送が行われています。放送実施の有無や放送基準、放送内容などの詳しいことは、各市区町村役場に確認が必要です。
テレビやラジオによる放送
平成19年10月1日から、準備の出来た放送局から順次、テレビ・ラジオで緊急地震速報を放送しています。
施設の館内放送等
緊急地震速報の館内放送を行っている施設では、館内放送で知ることも可能です。
地震情報
気象庁では、地震発生後、順次以下の情報を発表しています。
1.震度速報
震度3以上の揺れを伴う地震が発生したことを知らせる速報のことを言い、地震発生約1分半後に、震度3以上を観測した地域名と地震の揺れの検知時刻を速報としてながします。
【発表基準】
- 震度3以上
2.震源に関する情報
「津波の心配がない」または「若干の海面変動があるかもしれないが被害の心配はない」などの情報と、地震の発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)、震度3以上の地域名と市町村名が発表されます。震度5弱以上と考えられる地域で、震度を入手していない地点がある場合は、その市町村名が発表されます。
【発表基準】
- 震度3以上(津波警報または注意報を発表した場合は発表しない)
3.震源・震度情報
地震の発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)、震度1以上を観測した地点と観測した震度を発表します。また、震度3以上を観測した地域名と市町村毎の震度を発表。震度5弱以上と考えられる地域で、震度を入手していない地点がある場合は、その市町村・地点名が発表されます。
【発表基準】
- 震度1以上
- 津波警報・注意報発表または若干の海面変動が予想された時
- 緊急地震速報(警報)発表時
4.長周期地震動に関する観測情報
地震発生から10分後程度で、地域ごとの震度の最大値・長周期地震動階級の最大値のほか、個別の観測点毎に、長周期地震動階級や長周期地震動の周期別階級等を1回発表します。
【発表基準】
- 震度1以上を観測した地震のうち、長周期地震動階級1以上を観測した場合
遠地地震に関する情報
国外で発生した地震を遠地地震と言い、大きな地震を観測した場合や、都市部など著しい被害が発生する可能性がある場合に、地震の発生時刻、発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)、日本や国外への津波の影響や観測状況ついてを、地震発生から概ね30分以内に発表します。
【発表基準】
- マグニチュード7.0以上
- 都市部など著しい被害が発生する可能性がある地域で規模の大きな地震を観測した場合(国外で発生した大規模噴火を覚知した場合にも発表することがある。)
その他の情報
顕著な地震の震源要素更新のお知らせや地震が多発した場合の震度1以上を観測した地震回数情報等を発表。
【発表基準】
- 顕著な地震の震源要素を更新した場合や地震が多発した場合など
推計震度分布図
実際に観測された震度等を基に、震度計のない場所の震度を推計して250m四方ごとに図情報として発表しています。
【発表基準】
- 震度5弱以上
長周期地震動に関する観測情報
周期とは揺れが1往復するのにかかる時間のことです。個々の地震により周期は違いますが、一般的に大きな地震ほど周期が長くなります。そのため周期の長いゆっくりとした大きな揺れを生じる地震動のことを長周期地震動といいます。
また、建物にも固有の周期があり建物が高くなると周期が長くなります。
地震波の周期と建物の固有周期が一致すると建物の振動が激しくなる現象が起きます。これを共振といい、高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、長周期の波と「共振」しやすく、共振すると高層ビルは長時間大きく揺れることとなります。
地震が起きたとき、高層ビルの高層階での揺れの大きさは、震度では把握できないことから、気象庁では、長周期地震動階級を取り決め、「長周期地震動に関する観測情報」を発表しています。
長周期地震動階級関連解説表
長周期地震動階級1(やや大きな揺れ)
- 人の体感・行動
- 室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。
驚く人もいる。 - 室内の状況
- ブラインドなど吊り下げものが大きく揺れる。
長周期地震動階級2(大きな揺れ)
- 人の体感・行動
- 室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。
- 物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
- 室内の状況
- キャスター付き什器がわずかに動く。
- 棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
長周期地震動階級3(非常に大きな揺れ)
- 人の体感・行動
- 立っていることが困難になる。
- 室内の状況
- キャスター付き什器が大きく動く。
- 固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
- 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。
長周期地震動階級4(極めて大きな揺れ)
- 人の体感・行動
- 立っていることができず、はわないと動くことができない。
- 揺れにほんろうされる。
- 室内の状況
- キャスター付き什器が大きく動き、転倒するものがある。
- 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
- 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が多くなる。
南海トラフ地震関連情報
気象庁は、南海トラフ地域で大規模地震や地殻変動など異常な現象が観測された場合や南海トラフ地震発生の可能性が高まっているとされた場合に、「南海トラフ地震に関連する情報」の発表を行います。
「南海トラフ地震に関連する情報」の種類と発表条件
- 南海トラフ地震臨時情報
- ・南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合
- ・観測された異常な現象の調査結果を発表する場合
- 南海トラフ地震関連解説情報
- ・観測された異常な現象の調査結果を発表した後の状況の推移等を発表する場合
- ・「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の定例会合における調査結果を発表する場合(ただし南海トラフ地震臨時情報を発表する場合を除く)
- ※すでに必要な防災対応がとられている際は、調査を開始した旨や調査結果を南海トラフ地震関連解説情報で発表する場合があります
「南海トラフ地震臨時情報」に付記されるキーワード
「南海トラフ地震臨時情報」が発表される場合情報の後に次の単語が付きます。
- 調査中
- 南海トラフの想定震源域等で異常な現象が観測されたが観測された場合、異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始します。
- 異常な現象とは
- 想定震源域またはその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生、または、南海トラフの想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべりが発生した可能性がある場合
- 巨大地震警戒
- 調査の結果、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合
- 巨大地震注意
- 南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード7.0以上8.0未満の地震(巨大地震警戒に該当する場合は除く)や通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合
- 調査終了
- (巨大地震警戒)、(巨大地震注意)のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合
南海トラフ地震臨時情報の流れ
南海トラフ地震関連情報と、上記の付記されるキーワードは次のような流れで発表されます。
- 南海トラフの想定震源域等で異常な現象(想定震源域またはその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生、または、南海トラフの想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべりが発生した可能性がある場合)が観測された場合、南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表し、観測された異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始します。
- 調査の結果、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表されます。
- 南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード7.0以上8.0未満の地震や通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合等に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されます。
日ごろからの備え
地震による被害を最小限に抑えるには、慌てずに落ち着いて行動することが重要です。そのために、日ごろからの備えが大切です。
地震対策を見直そう
まず、市町村のホームページや、広報などでは、ハザードマップを公開しています。自分の住んでいる地域の危険度がわかると思います。ハザードマップをチェックし、避難場所と避難ルートを確認しておきましょう。災害に応じた避難場所についても各市町村が用意する「防災情報マップ」などで確認できます。
また、家の中でも倒れた家具などによって逃げ道がふさがらないよう、背の高い家具はL字型金具や突っ張り棒で固定するなど、普段から心掛けておきましょう。
防火対策
大きな地震の後に起こる災害が火災です。普段から防火についても見直しが必要です
- 住宅用火災報知機を設置しましょう。
- 住宅用消火器(消火器には業務用と住宅用があります)を設置し、使用方法を確認しておきましょう。
- 特に冬などは、暖房機器の周りに燃えやすいものを置かない習慣を心掛けましょう。
家具の対策
- 棚に物を入れるときは重心を安定させるため、下に重い物を入れ、上に軽い物を入れる
- 寝室に家具を置かない
- 窓ガラスや家具のガラス面に飛散防止シートを貼る
- 入り口付近に家具を置かない
- 食器棚などの扉には耐震ラッチを取り付けるなどして扉があかないようにしておく
- キャスター付きの家具はキャスターをロックして固定金具などで動かない工夫を
- 照明器具は落下しないよう数か所をチェーンなどで天井の木桟に留め、補強する
食料備蓄
大地震が発生した際は物流が滞り、食料品や日用品が不足することが考えられます。最低でも3日分、できれば一週間分を目安に備蓄しましょう。
- 缶詰などは火を使わなくても食べられて賞味期限もながいため、非常食には便利です。最近ではパウチ包装のものも出回っています
- 食料品についてはローリングストック*1も取り入れるとよいでしょう。気が付いたら賞味期限が過ぎていた。ということが無くなります。
- 水と、水分補給になるような飲料水は必ず保存しておきましょう。
- 乾パンなど保存食としては定番です。
非常用持ち出し袋
持病のある方は常備薬、処方箋などは毎晩、枕元に置いておく習慣にするとよいでしょう。保険証、年金手帳、免許証など身分証や現金の携帯も必要です。非常時にはカードなどのキャッシュレス決済ができなくなることがあります。停電対策として電池や懐中電灯、ポータブルラジオやモバイルバッテリーがあると便利です。その他にもヘルメット、冬は防寒着、夏は熱中症対策用品など、そろえておくと便利です。
地震が起きたときの行動
避難場所は室内にも必要です。まず室内での避難場所を決めておきましょう。
揺れているとき
- 屋内にいる場合は、机の下などの安全な場所で、頭を守りながら揺れが収まるまで待つ(この時普段から決めておくと慌てなくて済みます)
- 屋外にいる場合は、倒れる恐れがあるものから離れて、頭を守りながら揺れが収まるのを待つ
揺れが収まった後
- ブレーカーを落とす
- 火を使っている場合は火を消し、ガスの元栓を閉める
- 余震などの揺れによってドアが開かなくなることがあるため、ドアを開けて逃げ道を作る
警戒レベルに応じた行動を
緊急地震速報の発表から強い揺れを感じるまではわずかな時間しかありませんが、普段から警戒レベルに応じた行動について、考えておく必要があります。
警 戒レベル5
緊急安全確保
「命の危険 直ちに安全確保!
すでに安全な避難ができず、命が危険な
状況です。発令を待ってはいけません。」
避難場所への非難が可能ならすぐに移動できるよう避難場所を確認しておきましょう。もし、それが無理な場合家の中、近くの避難場所を決めておきましょう。
警 戒レベル4
避難指示
危険な場所から全員避難
警 戒レベル3
高齢者等避難
危険な場所から高齢者等は避難
高齢者がいる家庭はもちろん、高齢者の親戚などいませんか?高齢者が来客しているときはこの段階で非難が必要です。
警 戒レベル2
大雨・洪水注意報
自らの避難行動を確認
警 戒レベル1
早期注意情報
災害への心構えを高める
防災マニュアルを作ってみよう
最後に防災マニュアルを作ることで頭の整理ができます。一度作っておしまいではなく、年に一度は見直しましょう。
また、困ったときには地域の助けも必要です。町内会活動や地域のコミュニティ団体などに参加するなど、近所づきあいを心掛けておくことも必要です。
*1:普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法
コメント