ヘリテージ~受け継ぐべきもの

将来に遺したい日本の宝について

世界文化遺産

世界文化遺産に「百舌鳥もず・古市ふるいち古墳群」について、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)に「登録」されました。世界遺産は私たちが過去から受け継ぎ、未来へ残すべき大切な宝です。 そこで世界文化遺産について調べてみたいと思いました。
世界文化遺産文化遺産と自然遺産があり、文化遺産世界遺産のうちの一つということがわかりました。日本では慣例的に自然遺産を世界自然遺産と呼び、文化遺産世界文化遺産と呼んでいるようです。

世界遺産とは

世界遺産はどのようなものなのかもう少し具体的に調べてみたいと思います。
「1972年、ユネスコ総会で採択された『世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約』(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リスト(世界遺産一覧表)に登録された、文化財、景観、自然など、人類が共有すべき顕著な普遍的価値を持つ物件のことで、内容によって文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類に分けられる」事がわかりました。ちなみに無形文化遺産については世界遺産とは扱いが違うという事です。

つまり、2018年に登録された来訪神などは世界遺産とは扱いが違うのだということがわかります。こちらは「無形文化遺産」で、無形文化財の扱いについては2003年にユネスコで採択されたようです。今まで混同していましたが、物件ではないものは無形文化財だということが理解できます。

世界遺産の登録まで

世界遺産に登録されるには、いくつもの手続きや調査が必要なことは分かります。例えば、これから登録予定の「百舌鳥もず・古市ふるいち古墳群」はどのように世界遺産に登録されるのでしょう。
まず、2018年時点で世界遺産条約締約国が193か国あり、各国で暫定リストが作成されているようです。世界遺産一覧表に登録されるには、21か国の委員国で構成される「世界遺産委員会」での決定が必要となります。しかしその前に、専門家などで構成される諮問委員会が調査し
(ア)記載 : 世界遺産一覧表に記載するもの
(イ)情報照会 : 追加情報の提出を求めた上で次回以降に再審議するもの
(ウ)記載延期 : より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの(再度イコモスの審査を受ける必要があるもの)
(エ)不 記 載 : 記載にふさわしくないもの
の勧告を「世界遺産委員会」に提出し、委員会ではそれを踏まえたうえでの決定となります。
現在、「世界遺産一覧表」への記載に向け、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」及び「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を正式に提出しています。

文化遺産の種類

世界遺産について簡単に調べてきました。そこでまず、文化遺産についてみていきたいと思います。文化遺産には下記のような種類があります。

記念物(記念工作物)

「建築物、記念的意義を有する彫刻及び絵画、考古学的な性質の物件及び構造物、金石文、洞穴住居並びにこれらの物件の組合せであって歴史上、芸術上又は学術上顕著な普遍的価値を有するもの(文化遺産 (世界遺産) 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)」と定義されます。少しわかりにくいですね。そこで日本での文化遺産について調べてみると下記のような記述がありました。

日本における記念物の扱い(文化財保護法第2条第1項第4号より)

「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高い遺跡、名勝地、動植物および地質鉱物を「記念物」としています。」

これを見ると、お寺などの庭園などは記念物の扱いになるようです。

建造物群

「独立し又は連続した建造物の群であって、その建築様式、均質性又は景観内の位置のために、歴史上、芸術上又は学術上顕著な普遍的価値を有するもの(文化遺産 (世界遺産) 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)」と定義されます。
日本では法隆寺地域の仏教建造物、姫路城など多くの建造物が世界遺産に登録されています。

遺跡

「人工の所産(自然と結合したものを含む。)及び考古学的遺跡を含む区域であって、歴史上、芸術上、民俗学上又は人類学上顕著な普遍的価値を有するもの(文化遺産 (世界遺産) 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)」と定義されます。
この分類の代表として、クンタ・キンテ島と関連遺跡群(ガンビア)、キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群(タンザニア)、フィリピン・コルディリェーラの棚田群などがあげられています。

すべての文化遺産がこの3種類に分かれるのでしょうか。それでは今回登録される予定の「百舌鳥もず・古市ふるいち古墳群」は記念物と言う事でしょうか。こうしてみていくとどんどん疑問がわいてきます。

世界遺産文化遺産)の登録基準について

世界遺産に登録されるには以下の登録基準に一つ以上あてはまらなければなりません。「百舌鳥もず・古市ふるいち古墳群」の登録基準は2・3・4のようです。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。 
この基準は、創造的才能を発揮した個人に帰する物件に適用されるのが一般的ですが、制作者も制作年代も定かではない物件であっても、適用されることがあります。
例)タージ・マハル(インド)、シドニー・オペラハウス(オーストラリア)、プレアヴィヒア寺院カンボジア)、アントニ・ガウディの作品群、建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群 (ブリュッセル)、ティヤの石碑群(エチオピア)など
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。 
交易上の要衝など、文化交流に寄与した文化遺産にも適用されます。
例)シルクロード長安-天山回廊の交易路網(中国、カザフスタンキルギス)、コローメンスコエの主昇天教会(ロシア)、シュパイアー大聖堂(ドイツ)、ホレズ修道院ルーマニア)、ゲガルド修道院とアザト川上流域(アルメニア)、スウェルの鉱山都市(チリ)、王立展示館とカールトン庭園(オーストラリア)など
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
考古遺跡や人類化石遺跡などにも適用されています。
例)ブリッゲンノルウェー)、アルタの岩絵ノルウェー)、ミュスタイアのザンクト・ヨハン修道院(スイス)、ベルン旧市街(スイス)、ブトリント(アルメニア)、ヘラクレスの塔(スペイン)、ベニ・ハンマードの城塞(アルジェリア)、メサ・ヴェルデ国立公園(アメリカ合衆国)、ナスカとフマナ平原の地上絵(ペルー)、モヘンジョダロパキスタン)、南アフリカの人類化石遺跡群(南アフリカ共和国)など
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。 
例)ルーゴのローマ城壁(スペイン)、レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財スロバキア)、フォントネーのシトー会修道院(フランス)、ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル(スイス)、クロンボー城デンマーク)、ペタヤヴェシの古い教会フィンランド)、バハラ城塞(オマーン)、アブ・メナ(エジプト)、ビニャーレス渓谷キューバ)、グアラニーイエズス会伝道所群(ブラジル・アルゼンチン)など
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。 
例)クルシュー砂州(ロシア / リトアニア)、マドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷(アンドラ)、ホッローケーの古い村落とその周辺(ハンガリー)、ヴェーガ群島ノルウェー)、アシャンティの伝統的建築物群(ガーナ)、オマーンの灌漑システム・アフラジ(オマーン)など
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。 
例)原爆ドーム(日本)、ゴレ島(セネガル)、アウシュヴィッツ強制収容所ポーランド)、リラ修道院ブルガリア)、独立記念館(アメリカ合衆国)、ランス・オ・メドー国定史跡(カナダ)など
(参考:文化遺産 (世界遺産) 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)


登録に当たっては複数の基準が適用されることが多く、6項目全てが適用された物件は莫高窟(中国)、泰山(中国)、ヴェネツィアとその潟(イタリア)の3件のみです。

日本の世界遺産文化遺産

日本では2019年7月現在19件登録されています。最後に登録された「百舌鳥もず・古市ふるいち古墳群」を入れて19件目となりました。ちなみに自然遺産は4件となっています。日本の世界遺産については今後詳しく見ていきたいと思いますのでここでは件数のみの記載とします。

世界遺産についてみてきましたが、2018年現在世界遺産の登録件数は1092件、今後まだ増えていくと思われます。また、登録されても、登録基準を満たさなくなったものは削除されることもあるので登録されたからといってそのままではいけません。登録前に保存の観点でも審査基準が設けられているようです。
世界遺産に限ったことではありませんが、歴史的財産や美しい自然を守っていかなければいけないと強く思いました。