日本で5件目の世界遺産として京都府京都市・宇治市、滋賀県大津市の2県3市に点在する構成資産17件(寺13、神社3、城1)から成る古都京都の文化財(京都市,宇治市,大津市)が1994年、世界遺産として登録されました。なお、文化遺産としては3件目となります。 その中で鹿苑寺(通称:金閣寺)と慈照寺(通称:銀閣寺)についてみていきたいと思います。
M 鹿苑寺(通称:金閣寺)
鹿苑寺は、鎌倉時代に造られた貴族の別荘を将軍を退いた足利義満が譲りうけ、別邸北山殿に造り替えたもので、義満の死後、遺言により夢窓疎石を開山とする禅寺鹿苑寺となりました。舎利殿「金閣」が特に有名なため一般的には「金閣寺」と呼ばれています。
金閣を建て、山上に展望所を建てるなど西芳寺にならった構成をとっています。公家文化、武家文化、仏教文化が調和した華麗な建築であり、義満の権威と王朝への憧れを示しているようです。
応仁の乱(1467〜1477)で大きな打撃を被り、江戸時代には寺院組織によって金閣及び庭園の修理がなされています。1950年には火災により、義満の時代から唯一残っていた金閣が焼失(当時国宝、焼失により指定解除)しましたが、庭園を構成する重要な庭園建築として1955年に1904年の修理事業において作成された詳細な図面を用いて再建されました。さらに、1987年には修理工事が施され、1988〜1990年には消防施設を中心とした防災工事がされ、放水銃等が完備されました。
世界遺産登録一覧より
鹿苑寺庭園
特別名勝指定年月日:1925.10.08
建立年代:14世紀
衣笠山を借景に、鏡湖池に様々の名石を据えた池庭です。池に向かって三層の豪華な舎利殿があります。
関連資料
世界遺産一覧表記載推薦提案書(文化庁)
文化遺産オンライン(文化庁)
参拝について
〒603-8361 京都市北区金閣寺町1
- 時間
- 午前9:00〜午後5:00
- ※特別拝観時は時間が異なることもあります
- 休日
- 年中無休
- 参拝料金
- 大人(高校生以上):400円/小・中学生:300円
- ※特別拝観時は料金が異なることもあります。
N 慈照寺(通称:銀閣寺)
足利義政が1482年東山山麓に造営した別邸東山殿を、義政の死後、臨済宗の寺院となり義政の法号慈照院にちなんで慈照寺と名付けられました。銀閣寺の名前の由来は江戸時代、金閣寺に対し、銀閣寺と呼ばれるようになったといわれています(金閣寺は金箔が貼られていますが銀閣に銀箔は貼られていません)。東山殿も西芳寺をモデルに、池を囲むように観音殿(銀閣)、持仏堂(東求堂)等の建物が建てられ、文化人のサロンとして賑わっていました。
16世紀中期に兵火のために一時荒廃しましたが、17世紀中期に方丈、庫裏等を再建し、庭園、諸堂の修理がされました。18世紀中期には東求堂、後期には銀閣、方丈等の修理、19世紀前期にも東求堂の修理が行われ、19世紀後半に東求堂、方丈、銀閣の修理、庭園の整備が行われました。1914年に銀閣の半解体修理が行われ、1965年に行われた東求堂の解体修理に伴う調査によって創建当初の姿が判明し復原されています。庭園については、1931年、山腹に石組、敷石等が発掘され、1987年にお茶の井庭園として復原整備されています。
庭園が特別名勝に、銀閣及び東求堂が国宝に指定され世界遺産にも登録されています。
世界遺産登録一覧より
N1 銀閣
国宝指定年月日:1900.04.07
建立年代:1489年
別荘の中心となる楼造りの建物で、下層は書院風、上層は仏堂風につくられ、屋根は宝形造、柿葺で頂部に鳳凰の飾りがある二層の楼閣です。
N2東求堂
国宝指定年月日:1903.04.15
建立年代:1486年
約7m四方の入母屋造、檜皮葺の守護仏をまつる持仏堂と、将軍の書斎を兼ねた建物で、背面東側の4畳半の部屋「同仁齋」に設けられている付書院と違棚は現存する最古のものであり、書院造の源流と位置づけられています。
Na 慈照寺庭園
特別名勝指定年月日:1925.10.08
錦鏡池と銀閣を中心に多くの名石、樹木があしらわれた廻遊式の庭園で、石組の細部などにきめ細かい趣向が凝らされています。15世紀から16世紀の戦国時代に荒廃していたものを1615年に改修したものと考えられている。
関連資料
世界遺産一覧表記載推薦提案書(文化庁)
文化遺産オンライン(文化庁)
参拝について
〒606-8402 京都府京都市左京区銀閣寺町2
- 参拝時間
- 夏季 (3月1日~11月30日) 午前8:30~午後5:00
- 冬季 (12月1日~2月末日) 午前9:00~午後4:30
- ※特別拝観時は時間が異なることもあります
- 休日
- 年中無休
- 参拝料金
- 大人(高校生以上):500円/小・中学生:300円
臨済宗相国寺派
臨済宗(臨濟宗、りんざいしゅう)は、日本仏教においては禅宗(臨済宗・曹洞宗・黄檗宗)の一派です。禅宗では、釈迦が悟りを開いた瞑想法である「座禅」を体験することで悟りの可能性を目覚めさせ、悟りの境地に達することを目指します。最初に日本に禅を伝えたのは栄西禅師の臨済宗です。
相国寺派は1382年、夢窓疎石により始まり、本山は足利義満により建立された京都の相国寺です。鹿苑寺(金閣寺)と慈照寺(銀閣寺)も相国寺派に属しています。