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日本最古の漫画と称される「鳥獣人物戯画」が伝わる高山寺

日本で5件目の世界遺産として京都府京都市・宇治市、滋賀県大津市の2県3市に点在する構成資産17件(寺13、神社3、城1)から成る古都京都の文化財(京都市,宇治市,大津市)が1994年、世界遺産として登録されました。なお、文化遺産としては3件目となります。 その中で高山寺こうさんじについてみていきたいと思います。

高山寺

日本最古の茶園と漫画の元となった絵巻「鳥獣人物戯画」で知られています。明恵上人が、神護寺の別院であったこの場所を高山寺として開山しました。当初は金堂、阿弥陀堂、十三重塔、東西経蔵等が建っていましたが、中世の戦乱期に荒廃し、江戸時代に入った1634年に再興されました。 もみじの絶景としても有名です。

世界遺産登録一覧より

J1 石水院   国宝指定年月日1898.12.28 建立年代13世紀前半
住宅様式の建物で、13世紀前半に建てられ、現石水院は本来は経蔵として金堂の後方に建っていたものを1889年に現在の場所に移築されたと言うことです。1930年に解体修理、1952年と1969年に屋根葺替が行われています。庇を 神社・仏閣などの建築にみられる縋破風で処理する手法などは鎌倉建築らしい造りとなっています。   
J2 宝篋印塔  重要文化財指定年月日1955.02.02 建立年代13世紀
石造の宝篋印塔は鎌倉初期頃から制作されたと見られ、文献によると京都栂尾外畑(とのはた)に建てられた「明恵上人髪爪塔」が最も古いとされていますが、移設した記録が残っていないため、高山寺内明恵廟堂前にある「高山寺宝篋印塔」がこれにあたるかどうかは定かではないようです。
J3 如法経塔  重要文化財指定年月日1955.02.02建立年代 13世紀
一重形式の石造塔です。法華経は写経・経塔建立を重視していたと聞いたことがありますので、この塔もそういう意味合いで建てられたのでしょう。

関連資料

世界遺産一覧表記載推薦提案書(文化庁)
文化遺産オンライン(文化庁)

拝観について

住所
〒616-8295 京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
TEL 075-861-4204 FAX 075-865-1848
拝観時間
8:30~17:00
石水院拝観料
800円
※紅葉時期のみ入山料500円

鳥獣人物戯画

鳥獣人物戯画は高山寺が収蔵する国宝の絵巻物で、日本でもっとも有名な絵巻といってよいでしょう。全4巻で長さは計40メートルに及び、擬人化した動物が描かれているのが特徴で、漫画の原点ともいえます。平安時代後期の甲巻・乙巻と鎌倉時代の丙巻・丁巻からなり、現在石水院に飾られているものは複製となっています。現在は甲・丙巻が東京国立博物館、乙・丁巻が京都国立博物館に保管されているとのことです。

甲巻  縦30.4cm 全長1148.4cm
擬人化された動物が描かれています。
乙巻  縦30.6cm 全長1189.0cm
実在・空想上の動物が写生的に描かれています。
丙巻  縦30.9cm 全長933.3cm
前半には人間が登場し、後半には擬人化された動物が描かれています。
丁巻  縦31.2cm 全長1130.3cm
人間のみで構成され、勝負事に挑む姿が多く描かれています。

まとめ

高山寺は平成30年の台風21号の影響で、樹齢100年以上の大木を含む200本以上の木が倒れ、金堂・開山堂・仏足石が損壊するなど、甚大な被害を受けました。そのため、大規模修復工事が行われ、令和2年3月31日にそのすべてが完了しています。日本は台風や地震など、自然災害が多く、それは避けることのできないものです。そんな中で、被害を少なくするための努力や対策がこれからの課題となることを実感しました。